過失割合とは
交通事故の過失割合とは、事故の当事者である加害者と被害者に、交通事故の責任がそれぞれどの程度あるのかを数値化したものです。7対3や80対20といった表現の仕方をし、合計が10または100となることが一般的です。
「被害者なのだから相手が100%悪いはず」と思っても、過失割合が0対10にはならない場合も多くあります。特に乗り物(自転車・原付・バイク・自動車)に乗っていて移動している最中の事故の場合です。このケースでは特殊な事情がない限り、1対9、15対85などで責任が認められてしまう可能性が高いです。
内容が複雑ですので、過失割合について争いがある場合は、弁護士に相談されることをおすすめします。
過失割合のパターン
以下のとおり、細かなパターン別に基準が決められています。
事故の当事者が何に乗っていたか?
・歩行者と四輪車/歩行者と単車
・自転車事故(歩行者と自転車/自転車と自転車)
・四輪車と四輪車/単車と単車
・単車と四輪車
・自転車と四輪車/自転車と単車
どこで起きた事故か?
・高速道路上の事故
・駐車場内の事故
上記のパターン分けからさらに条件を組み合わせ、「優先道路かどうか」「信号は青だったか赤だったか」「当事者がどのくらいのスピードを出していたか」などの要素をトータルに考慮して、過失割合が決定されます。
決定するのは誰か
過失割合を決めるのは警察でも医師でもありません。訴訟前の交渉段階では、あくまで当事者の合意が必要です。相手が任意保険に加入していた場合は、保険会社との交渉になります。
話し合いで折り合いがつかない場合は、最終的に訴訟を起こして裁判所に決めてもらうことになります。
話し合いでは平行線をたどる可能性が高いので、裏付け資料としての証拠や証言が必要です。事故現場の写真やドライブレコーダーの映像、「実況見分調書」などが重要な証拠となります。
賠償金の額への影響
裁判基準の場合
過失割合が決まると、「被害者の責任」とみなされた分の1対9や15対85の「1割」「15%」の分だけ賠償金の額が下がってしまいます。これを「過失相殺」といいます。
・過失割合1:9(被害者:加害者)で賠償金額が100万円→支払われる金額は90万円
・過失割合15対85(被害者:加害者)で賠償金額が1,000万円→支払われる金額は850万円
金額が大きくなればなるほど、過失割合によって大きな差額が出てしまいます。
自賠責基準の場合
自賠責基準で過失割合を決める場合は、裁判基準と考え方が少し異なります。被害者側にもある程度責任があると認められた場合でも、賠償金が以下のとおり減額されません。
被害者の過失割合 | 減額割合 | |
---|---|---|
後遺障害による損害、 死亡による損害 | 障害による損害 | |
7割未満 | 減額なし | |
7割以上〜8割未満 | 2割減額 | 2割減額 |
8割以上〜9割未満 | 3割減額 | |
9割以上〜10割未満 | 5割減額 |